【美容】肌の仕組みを知るとケアが分かる:角層・表皮・真皮

「肌の奥まで届く」「ハリの元にアプローチ」。化粧品の広告には、肌の中のことを言う言葉がたくさん出てきます。高い美容液を買ったのに変化が分からなかった。美容クリニックのサイトを見たら「真皮」「コラーゲン」と書いてあって、化粧品と何が違うのか分からなくなった。そんなもやもやの多くは、肌の仕組みをざっくり知るだけでほどけます。
肌は3つの層でできている
| 層 | 場所 | 主なはたらき | 関係する悩み |
|---|---|---|---|
| 表皮 | いちばん外側。とても薄い | 水分を保ち、外の刺激から守る | 乾燥・くすみ・シミ |
| 真皮 | 表皮の下 | コラーゲンなどで肌のハリと弾力を支える | しわ・たるみ |
| 皮下組織 | いちばん下 | 脂肪で体温を保ち、衝撃をやわらげる | たるみ・顔の輪郭 |
表皮のいちばん外が「角層」
表皮の中でも、いちばん外側にあるのが角層です。役目を終えた細胞が何層にも重なってできていて、ラップのように肌の水分が逃げるのを防ぎ、外からの刺激が入りにくいようにしています。
角層がうるおっていると、光がきれいに反射して、肌にツヤがあるように見えます。「グラススキン」と呼ばれるツヤのある肌の見た目も、この角層の状態が大きく関わっています。くわしくは「グラススキンとは?」に書いています。
肌は生まれ変わっている(ターンオーバー)
表皮の細胞は、いちばん下でつくられて、少しずつ上に押し上げられ、最後は垢としてはがれ落ちます。この入れかわりをターンオーバーと呼びます。
| ターンオーバーの状態 | 起きやすいこと |
|---|---|
| ちょうどいい | なめらかでツヤがある |
| 遅れる | 古い角質がたまり、くすみ・ごわつき・毛穴づまり |
| 早すぎる(こすりすぎ・ピーリングのしすぎ) | 未熟な角層になり、乾燥・ヒリヒリ |
年齢や睡眠、紫外線、こすりすぎなどで乱れると言われます。「古い角質を取れば取るほどいい」と思ってピーリングやスクラブを重ねると、かえって肌が弱くなることがあります。やりすぎのサインは「ピーリング(AHA・BHA)のやりすぎのサイン」にまとめました。
化粧品はどこまで届く?
化粧品(医薬部外品を含む)がはたらくのは、基本的に角層までと考えておくと分かりやすいです。
| もの | はたらく場所の目安 | 期待できること |
|---|---|---|
| 化粧品 | 角層 | うるおす・保護する・整える |
| 医薬部外品(薬用化粧品) | 角層 | 認められた範囲の効果(ニキビを防ぐ・日焼けによるシミ・そばかすを防ぐ など) |
| 医薬品(塗り薬・飲み薬) | 病気のある場所 | 治療 |
| 美容医療(レーザー・注射など) | 表皮〜真皮・皮下組織 | 見た目の変化を目的にした医療 |
広告の「浸透」は、多くの場合「角層まで」という意味です。真皮のコラーゲンを化粧品で増やす、といった言い方には慎重になってください。化粧品と医薬部外品の違いは「化粧品・医薬部外品・医薬品の違い:パッケージの読み方」で説明しています。
悩みごとに、どの層の話か
| 悩み | 主に関わる層 | ふだんのケアでできること | 医療で行うこと(例) |
|---|---|---|---|
| 乾燥・粉ふき | 角層 | 保湿・洗いすぎない | 皮膚科での治療(湿疹があるとき) |
| くすみ | 角層・表皮 | 保湿・紫外線対策 | ピーリング |
| シミ | 表皮(深いものは真皮) | 日焼け止め | レーザー・光治療 |
| 小じわ | 角層・表皮 | 保湿 | ― |
| 深いしわ・たるみ | 真皮・皮下組織 | 紫外線対策 | 注射・ハイフ・糸リフトなど |
浅い悩みほど、ふだんのケアで変わりやすい。深い層の悩みほど、化粧品では届きにくい。ざっくり、そう覚えておくと選びやすくなります。
紫外線はどの層にも影響する
紫外線には、肌の表面を赤くするUV-Bと、もっと奥まで届くUV-Aがあります。UV-Aは真皮まで届き、ハリを支える組織に影響すると言われています。年齢を重ねたときのしわ・たるみ・シミの多くは、長年の紫外線の影響を受けているとされます。日焼け止めの選び方は「日焼け止めのSPFとPA、どう選ぶ?」にまとめました。
年齢とともに肌の中で起きること
年齢を重ねると、それぞれの層で少しずつ変化が起きると言われています。
| 層 | 起きやすい変化 | 見た目に出ること |
|---|---|---|
| 角層・表皮 | 水分を抱える力が落ちる・ターンオーバーがゆっくりになる | 乾燥・くすみ・ごわつき |
| 真皮 | ハリを支える組織が減る・弾力が落ちる | しわ・たるみ |
| 皮下組織 | 脂肪の量や位置が変わる | ほうれい線・フェイスラインのゆるみ |
| 骨 | 顔の骨の形も少しずつ変わると言われる | 輪郭の変化 |
どれも誰にでも起きる変化です。年齢を重ねた見た目と性の自信の話は「年齢を重ねた見た目と、性の自信」にも書きました。
男性と女性で違うところ
| 違い | 男性に多い傾向 | 女性に多い傾向 |
|---|---|---|
| 皮脂の量 | 多い | 年齢や生理周期で変わる |
| 毎日の刺激 | ひげそりで角層を削っている | メイクとクレンジングの摩擦 |
| 紫外線対策 | していない人が多い | している人が多い |
| ホルモンの影響 | 年齢でゆるやかに変わる | 生理周期・妊娠・更年期で大きく変わる |
傾向なので、当てはまらない人もたくさんいます。ただ、男性は「皮脂が多いのに、頬はひげそりで乾燥している」という組み合わせになりやすく、女性は「生理の前に荒れる」「更年期で急に乾く」のように、時期によって肌が大きく動きやすい、という違いはよく言われます。
相手から見た「肌がきれい」は、ほぼ角層の話
近くで顔を見たとき、相手が「肌がきれい」と感じるのは、ツヤ・なめらかさ・色むらの少なさであることが多いです。どれも、角層と表皮の状態で決まる部分が大きいんです。
つまり、高い施術をしなくても、
- こすらない
- 洗いすぎない
- 保湿する
- 紫外線を防ぐ
の4つで変えられる部分がかなりあります。まずここを整えてから、それでも気になる悩みがあれば医療を考える、という順番が、お金の面でも肌の面でも負担が少ない進め方です。
肌のしくみを知ると、情報に振り回されにくくなる
肌のしくみを知っておくと、広告やSNSの情報に振り回されにくくなります。たとえば、化粧品が届くのは主に角層までで、肌の奥深くまで成分が届く、とうたう広告には注意が必要だと分かります。
よくある疑問
高い化粧品ほど奥まで届く?
値段と届く深さは関係しません。高い化粧品は、香りや使い心地、独自の成分などにお金がかかっていることが多いです。肌に合うか、続けられるかで選んでください。
コラーゲン入りの化粧品で、肌のコラーゲンは増える?
塗ったコラーゲンが、そのまま真皮のコラーゲンになるわけではないとされています。化粧品のコラーゲンは、主に角層をうるおす保湿成分としてはたらきます。
ターンオーバーを早める方法はある?
早めることより、乱さないことを考えるほうが現実的です。睡眠をとる、こすらない、紫外線を防ぐ。ピーリングなどで無理に早めると、かえって肌が弱くなることがあります。
「肌の奥まで」と書いてある広告はうそ?
化粧品の広告で使える言葉には決まりがあり、「浸透」は角層までを指すのが一般的です。小さく「角層まで」と書かれていることも多いので、注意書きまで読んでみてください。それでも「真皮のコラーゲンが増える」のように読める広告は、受け取り方に気をつけたほうがいいです。
美容医療と化粧品、どちらから始めればいい?
浅い層の悩み(乾燥・くすみ・ニキビの予防)なら、ふだんのケアから。深い層の悩み(深いしわ・たるみ)や、化粧品では届きにくいシミは、医療のほうが向いていることがあります。費用やリスクもあるので、受ける前に「美容医療とは?保険が使えない『自由診療』のこと」を読んでください。
相談できるところ
| 悩み | 相談先 |
|---|---|
| 乾燥・赤み・かゆみが続く | 皮膚科 |
| シミ・しわを医療で治したい | 美容皮膚科(受ける前に「美容医療とは?」を読む) |
| 化粧品の成分を知りたい | 薬局の薬剤師・化粧品売り場 |
肌の仕組みを知っておくと、広告の言葉を自分で読み解けるようになります。迷ったら「この悩みはどの層の話か」を考えてみてください。
- 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A」 https://qa.dermatol.or.jp/