【SM・ドミサブ】ハードSMとは:何が「ハード」なのか

SMの話の中で「ハード」という言葉を聞くと、どんなことなのか気になる一方で、こわいとも感じますよね。興味がある人も、パートナーに求められて不安な人もいると思います。
このページでは、ハードSMとは何を指すのか、なぜ危ないのかをまとめました。ロコペリでは、ハードSMのやり方(縛り方・打ち方・手順・強さの目安)は書いていません。知ったうえで、自分と相手を守るための情報として読んでください。
「ハード」と呼ばれる3つの面
| 面 | 中身 | 例 |
|---|---|---|
| からだに残る | 痕・傷・やけど・しびれ・後遺症が残りうる | 縄で長く縛る・鞭・ろうそく・皮膚を傷つける行為 |
| 命にかかわる | 呼吸・血流・意識・心臓に影響しうる | 首・呼吸にかかわる行為・吊り・電気 |
| 心への負担が大きい | 強い恐怖・屈辱、終わったあとの落ちこみ | 長時間の拘束・強い言葉・恐怖を伴う演出 |
ひとつの行為が、いくつもの面にまたがることもあります。どの面がどれだけ大きいかで、危なさは変わります。
なぜ危ないのか
| 危なさ | 中身 |
|---|---|
| 加減が分かりにくい | 痛みやこわさの感じ方は人によって違い、その日の体調でも変わる |
| 異変に気づくのが遅れる | 興奮していると、痛みやしびれに気づきにくい |
| 声が出せない場面がある | 口がふさがれている・息が苦しいと、止める合図が出せない |
| 取り返しがつかない | 神経のまひ・やけどの痕・脳への影響は、元に戻らないことがある |
| 法律の問題 | 同意があっても、大きなけがをさせると罪に問われることがある |
医療情報のMSDマニュアルでは、合意のうえでのプレイでも、安全のための合図を使わなくなると行為が過激になり、重いけがや死亡につながるおそれがある、と説明されています。
慣れた人ほど準備に時間をかける
ハードSMを長く楽しんでいる人ほど、始めるまでの時間を大事にすると言われます。
| 準備 | 中身 |
|---|---|
| 細かい話し合い | 何を・どこまで・どれくらいの時間か |
| 止める合図 | 声が出ないときの合図まで |
| 体調の確認 | お酒・薬・持病・睡眠不足 |
| 道具の点検 | 壊れていないか・すぐ外せるか |
| 救急の備え | 救助用のはさみ・119を呼べる状態 |
| 信頼関係 | 初対面・知り合ったばかりの相手とはしない |
| 終わったあとのケア | 翌日以降の連絡まで |
準備に時間をかけられない、話し合いを面倒がる、救急の話をすると不機嫌になる。そんな相手とは、ハードなことはしないでください。
ロコペリが扱わないもの
ロコペリでは、次のものは言葉の説明も含めて扱っていません。
- 年齢を下げる役割のプレイ(子どもを演じる・扱うもの)
- 排泄・血・動物にかかわる行為
- 違法な薬物を使う行為
- 意識を失わせる行為
ハードSMに興味を持ったら
| 考えたいこと | 理由 |
|---|---|
| 何に惹かれているのか | 強さか、関係か、委ねる感覚か。ソフトな形で満たせることもある |
| ソフトの段階で満たされているか | 段階を飛ばさない |
| 相手は信頼できるか | ハードになるほど、相手選びが命にかかわる |
| 事故のときに119を呼べるか | 恥ずかしさで呼べない、は命取りになる |
首・呼吸にかかわる行為には、安全なやり方はありません。どれだけ慣れていても、しないでください。くわしくは「命にかかわる行為:首・呼吸・吊り・電気」へ。
求められて不安なとき
パートナーからハードなことを求められて、断りたいのに言えない、という人もいます。あなたが望まないなら、断っていいんです。断ると不機嫌になる、何度も求めてくる、という相手は、あなたの安全より自分の好みを優先しています。関係を見直すサインです。
事故が起きたら
| 状況 | すること |
|---|---|
| 呼吸がおかしい・意識がない | すぐに119 |
| しびれ・力が入らない | 外して、続くなら医療機関へ |
| やけど | 流水で冷やして、医療機関へ |
| 出血 | 清潔な布で押さえて、止まらなければ119 |
救急では、何をしていたかを正直に話してかまいません。そのほうが、適切な手当てを受けられます。くわしくは「事故が起きたとき:しびれ・やけど・呼吸の異変」へ。
相手を選ぶときの目安
ハードになるほど、相手選びが安全を大きく左右します。
| 見ること | 理由 |
|---|---|
| 何度か会って、話し合いを重ねた相手か | 初対面ではお互いの限界が分からない |
| あなたのNGを守ってきたか | 小さな約束を守れる人か |
| 事故のときの話を嫌がらないか | 救急の備えを面倒がる人は危険 |
| お酒を飲みながらしたがらないか | 判断が鈍る |
| 撮影をしたがらないか | 画像のトラブルにつながる |
| 終わったあとのケアをするか | 相手の心とからだを気にかけるか |
ハードの前に、ソフトで確かめること
| ソフトの段階で確かめたいこと | 理由 |
|---|---|
| 合図が守られるか | ハードになるほど、合図が命綱になる |
| 終わったあとに落ちこまないか | 強いプレイほど反動も大きい |
| ふたりの話し合いがうまくいくか | 細かい合意が必要になる |
| 相手の様子を見る力があるか | 異変に早く気づけるか |
ソフトの段階で不安が残るなら、ハードには進まないほうが安全です。段階を急ぐ理由は、どこにもありません。
パートナーとハードSMの話をするときの言い方
| 場面 | 言い方の例 |
|---|---|
| 興味を伝える | 「興味はあるけど、危ないことも知っておきたい」 |
| 断る | 「からだに残ることはしたくない」 |
| 段階を確かめる | 「ソフトのほうで、もう少し慣れてからにしたい」 |
| 備えを話す | 「何かあったら119を呼ぶ、って先に決めておきたい」 |
ハードの話を落ち着いてできるかどうかも、相手を知る手がかりになります。
よくある疑問
ハードSMが好きな自分はおかしい?
好みそのものは責めるものではありません。ただ、からだと命の危険は本物です。好みと安全は分けて考えてください。
どこまでならハードではない?
決まった線はありません。からだに残るか、命にかかわるか、心への負担が大きいか、で考えてください。「ソフトSMとハードSMの違い」の段階の表も参考になります。
ハードSMの経験がある相手なら安心?
経験は、安全の保証になりません。慣れからくる油断もあります。話し合いをしてくれるか、合図を守るか、事故の備えをしているかで見てください。
一度ハードなことをしたら、戻れない?
戻れます。段階はいつでも下げていいし、やめてもいいんです。
相談できるところ
| 悩み | 相談先 |
|---|---|
| 事故・けが | 救急(119)・医療機関 |
| 迷ったら | 救急相談(#7119。ない地域もある) |
| 同意のない行為をされた | ワンストップ支援センター(#8891)・警察(#9110) |
| 好みのことで悩んでいる | カウンセリング・心療内科 |
ハードと呼ばれるものほど、話し合いと準備がものを言います。知ることは、自分と相手を守ることにつながります。
- MSDマニュアル家庭版「性的マゾヒズム障害」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/10-心の健康問題/パラフィリアとパラフィリア症/性的マゾヒズム障害
- 総務省消防庁「救急車の適時・適切な利用(適正利用)」 https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/
- 刑法(明治40年法律第45号)e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045