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【性教育の基本】中絶に相手の同意は必要?

ロコ
ロコの結論
「相手のサインがないと中絶できないの?」と不安になりますよね。母体保護法が求めているのは、本人と配偶者(事実婚を含む)の同意です。配偶者が分からないとき、意思を示せないとき、妊娠後に配偶者がいなくなったときは本人の同意だけで足ります。性暴力による妊娠では、加害者の同意は求められていません。迷ったら、受診先と相談窓口に事情を話してください。

中絶を考えたとき、多くの人が引っかかるのが「同意書」です。相手に言いたくない。もう連絡が取れない。そもそも相手が誰なのか言いたくない事情がある。そんなとき、「サインがもらえないから、もう無理なのかも」と思い詰めてしまう人がいます。

でも、法律が求めている同意の中身を知ると、思っていたより選べる道があることも多いんです。このページでは、母体保護法の決まりと、国の通知、医療機関での実際を、順番に整理しました。法律の話なので、最後は受診先や相談窓口で確かめてください。

法律では「本人と配偶者の同意」

人工妊娠中絶について定めている母体保護法では、指定医師が、本人と配偶者の同意を得て中絶を行えるとしています。

ここでいう配偶者には、婚姻届を出していなくても、事実上結婚しているのと同じような関係にある人(事実婚の相手)も含まれる、と法律に書かれています。

そのうえで、次の場合は本人の同意だけで足りる、ともされています。

本人の同意だけでよい場合 例
配偶者が知れないとき 相手が誰か分からない、所在が分からない
配偶者が意思を表示できないとき 意思を示せる状態にない
妊娠したあとに配偶者がなくなったとき 妊娠後に死別した

国の通知では、「配偶者が知れない」には、法律の手続きで確認された場合だけでなく、事実上所在が分からない場合も含む、と説明されています。

結婚していない相手の場合

結婚しておらず、事実婚の関係でもない相手は、法律でいう配偶者には当たりません。そのため、法律の上では相手の同意は求められていない、と整理されています。

ただ、医療機関によっては、トラブルを避けるために相手の署名を求めるところもあると言われています。相手に知らせたくない事情があるなら、予約の段階で「相手の同意が得られない事情がある」と伝えて、どう扱っているかを聞いてみてください。対応は医療機関ごとに違います。

性暴力による妊娠の場合

望まない性行為、同意のない性行為によって妊娠した場合も、母体保護法で中絶が認められる理由のひとつになっています。

2020年の国の通知では、この場合に加害者の同意を求める必要はないことが明確にされました。サインを求められるのでは、と心配して受診をためらわなくていいんです。

被害にあったときは、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(全国共通 #8891)でも相談できます。医療機関の受診や、証拠を残すこと、警察に行くかどうかまで、一緒に考えてもらえます。

DVなどで相手の同意が得られない場合

配偶者からの暴力(DV)があって、同意を求めること自体が危ない、という人もいます。ピルコンの案内では、DVなどで婚姻関係が実質的に破綻していて同意を得ることが難しい場合は、本人の同意だけでよいという考え方が、厚生労働省から示されていると紹介されています。

自分の状況が当てはまるか分からないときは、医療機関に事情を伝えてください。DVの相談窓口や、女性相談支援センター(#8778)に相談すると、受診のことも含めて支えてもらえます。

相手に伝えるかどうかは別の話

法律で同意が求められないことと、相手に伝えるかどうかは、別に考えていいことです。

伝えるほうが助けになりやすい 伝えないほうがいいこともある
一緒に考えてくれる関係 暴力・脅しがある、責められるおそれが強い
費用や付き添いを分け合える 連絡を取ること自体が負担になっている
将来の避妊を一緒に見直せる 相手が誰か言いたくない事情がある

伝えるかどうかに正解はありません。自分の安全と、気持ちの負担を基準に決めていいんです。いまは伝えず、気持ちが落ち着いてから話す、という順番もあります。伝えると決めた場合も、直接会うのがこわければ、電話やメッセージで、信頼できる人にそばにいてもらいながら伝える方法もあります。

同意書でよくある思い込み

同意書については、ネット上の話や友だちから聞いた話で、思い込んでしまっていることも多いです。

よくある思い込み 法律と国の通知では
相手のサインがないと、どこでも受けられない 法律上、同意が求められるのは配偶者(事実婚を含む)。本人の同意だけで足りる場合も法律に書かれている
性暴力で妊娠しても、相手のサインがいる 加害者の同意は求められないことが、2020年の国の通知で明確にされた
相手の連絡先が分からないと受けられない 「配偶者が知れないとき」は本人の同意だけで足りる。事実上所在が分からない場合も含む

ただし、法律の決まりと、医療機関ごとの運用が完全に同じとは限りません。思い込みで受診をあきらめる前に、医療機関に直接聞いてみてください。

予約のときの伝え方の例

事情を電話で話すのは勇気がいりますよね。くわしい理由まで言わなくても、まずは次のように伝えるだけで、医療機関は対応を考えてくれます。

  • 「中絶の相談で受診したいのですが、相手の同意書がもらえない事情があります」
  • 「相手と連絡が取れません。その場合の手続きを教えてください」
  • 「望まない性行為で妊娠したかもしれません」

最後の場合は、ワンストップ支援センター(#8891)に先に相談して、受診先を一緒に探してもらう方法もあります。

男性の読者へ

パートナーから中絶を考えていると聞いたとき、「自分には同意する権利があるはず」と感じる人もいるかもしれません。法律は配偶者の同意を求めていますが、妊娠しているのは相手のからだです。

意見を伝えることはできます。でも、脅したり、サインを交換条件にしたりするのは、相手を追い詰めるだけです。費用を負担する、付き添う、次からの避妊を一緒に考える。そうした形で関わってください。

よくある疑問

同意書にうその名前を書いてもいい?

相手の名前を勝手に書いたり、うその内容を書いたりすると、あとで別のトラブルになるおそれがあります。サインが得られない事情があるなら、正直に医療機関に伝えて相談するほうが、結果的に早く進むことが多いです。

夫と別居中で、離婚の話し合いをしている

婚姻届が出ている間は、法律上は配偶者に当たります。そのうえで、関係が実質的に破綻している、同意を求めると危険がある、などの事情があるなら、医療機関と相談窓口に具体的に話してください。

同意書に書いたことは、相手に知られる?

医療機関には守秘義務があるので、本人の了解なしに、受診や手術のことを相手や家族に知らせることは基本的にありません。心配なら、受診のときに「誰にも連絡しないでほしい」と伝え、連絡先の電話番号をどこにするかも相談してください。保険を使わない自費の診療になることが多いので、健康保険の通知から家族に知られる心配も小さいと言われています。

相談できるところ

窓口 どんなところ
受診する医療機関 同意書の扱い、事情があるときの対応
妊娠相談窓口サイト(こども家庭庁) 匿名・無料で相談できる全国の窓口を探せる
女性相談支援センター(#8778) DVを含め、困りごとを抱える女性の相談先
ワンストップ支援センター(#8891) 性暴力の被害にあったとき

最後に

中絶の同意は、法律で「本人と配偶者」と決められていて、本人だけで足りる場合も書かれています。性暴力による妊娠では、加害者の同意は求められません。「サインがないからもう無理」と1人で決めつけず、事情をそのまま医療機関や相談窓口に話してください。法律の細かい判断は、個別の事情で変わることがあります。

出典

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