【年代・ライフステージ】60代からの性、何が変わる?

定年を迎えて、夫婦で家にいる時間が急に増えた。子どもも独立して、ふたりきりの生活が始まった。ふと、そういえばもう何年も、ふれあうことがなかったな、と思う。このままでいいのか、それとも何か変えたほうがいいのか。人には聞きにくいけれど、気になっている人は多いと思います。
このページでは、60代からの性で変わりやすいことを、からだ・関係・ひとりの性に分けてまとめました。くわしいことは、それぞれのページで説明しています。
60代からの性は、人によってさまざま
| 気持ち | よくある声 |
|---|---|
| もう関係ない | 性への関心がなくなった。それで困っていない |
| まだ大切にしたい | パートナーとのふれあいを続けたい |
| 新しく始めたい | 死別・離婚のあとに、新しい相手ができた |
| ひとりで楽しみたい | 相手はいないけれど、自分の性は大切にしたい |
| 迷っている | したい気持ちはあるけれど、からだが心配 |
どれが正しい、ということはありません。「何歳になっても現役で」と言われることもあれば、「もう卒業でしょ」と言われることもあります。でも、どちらも押しつけられるものではないんです。自分とパートナーにとって心地いい形を選んでいいんです。
女性のからだで変わりやすいこと
閉経から年月がたつと、女性ホルモンが少ない状態が続くため、腟の粘膜が薄く乾きやすくなります。日本産婦人科医会の女性医学のコラムでは、閉経後の女性の多くが性交痛や腟の乾燥を感じているのに、その多くが医療者に相談していない、という海外の調査が紹介されています。
| 変化 | 感じること | できること |
|---|---|---|
| 腟の乾燥 | ふれあっても濡れにくい | 潤滑剤・保湿剤を使う |
| 粘膜が薄くなる | こすれると痛い・出血しやすい | ゆっくり進む・婦人科で相談 |
| 外陰部のかゆみ | ひりひりする | 洗いすぎない・婦人科で相談 |
| 尿の通り道の変化 | トイレが近い・尿もれ | 婦人科・泌尿器科で相談 |
腟の乾燥には保湿剤、性行為のときの痛みには潤滑剤が使われ、婦人科では腟に入れる薬などの治療を相談できることもあります。くわしくは「閉経のあとの腟の乾燥と、久しぶりの性行為」にまとめています。
男性のからだで変わりやすいこと
| 変化 | 感じること | できること |
|---|---|---|
| 勃起しにくくなる | 硬さが足りない・続かない | 泌尿器科で相談できる |
| 射精までの時間が変わる | 時間がかかる・射精しないこともある | 挿入や射精にこだわらない |
| 性欲の変化 | 以前ほど気持ちがわかない | 個人差が大きい |
年齢とともに勃起しにくくなるのは、よくあることです。ただ、高血圧や糖尿病、心臓の病気などが関係していることもあります。ED治療薬を使いたいときは、ほかに飲んでいる薬との飲み合わせがあるので、必ず医師に相談して処方してもらってください。くわしくは「ED治療薬とは?」に。
関係で変わりやすいこと
| 変化 | よくあること |
|---|---|
| 定年 | 一緒にいる時間が急に増える。距離のとり方に戸惑う |
| 子どもの独立 | ふたりきりの生活に戻る |
| 介護 | 親やパートナーの介護で、心もからだも余裕がなくなる |
| 死別・離婚 | ひとりになる。新しい出会いを考えることも |
| 再婚・新しい相手 | 家族への伝え方に悩む |
関係の変化は、ふれあいの形を見直すきっかけにもなります。挿入をともなう性行為だけでなく、手をつなぐ、寄りそって眠る、マッサージをし合う、といったふれあいを大切にするふたりもいます。
ひとりの性も、年齢で決まらない
相手がいない人も、相手がいる人も、ひとりで自分のからだにふれる時間をもつことは、年齢に関係なく自由です。恥ずかしいことでも、おかしなことでもありません。
持病や薬があるとき
| 気になること | 相談先 |
|---|---|
| 心臓・血圧の病気がある | 主治医に、性行為をしても大丈夫か聞いてみる |
| 飲んでいる薬で性欲や勃起が変わった気がする | 処方した医師か薬剤師に |
| 手術や治療のあと | 主治医に、再開の時期を確かめる |
「こんなことを聞いていいのかな」と思うかもしれませんが、主治医に相談してかまいません。
性感染症は年齢で無関係にならない
妊娠の心配がなくなると、コンドームを使わなくなる人もいます。でも、性感染症は年齢に関係なくうつります。新しい相手との関係なら、とくに気をつけてください。くわしくは「60代からの性感染症」に。
パートナーとの話し方
60代になってから、性のことをあらためて話すのは照れくさいですよね。でも、言葉にしないままだと、「もう求められていない」「無理をさせているかも」と、お互いに思いこんでしまうこともあります。
| 伝えたいこと | 言葉の例 |
|---|---|
| ふれあいたい | 「たまには手をつないで歩こうか」 |
| からだが心配 | 「最近、痛いことがあって。ゆっくりがいいな」 |
| しなくてもいい | 「無理しなくていいよ。くっついていられればうれしい」 |
| 相談したい | 「一度、お医者さんに聞いてみようか」 |
介護をしているとき・されているとき
60代は、親の介護が始まったり、自分やパートナーが介護を受ける側になったりする時期でもあります。介護で心もからだも余裕がなくなると、ふれあいどころではない、と感じるのは自然なことです。反対に、介護される側になっても、ふれあいや親しさを求める気持ちがなくなるわけではありません。介護の場面で戸惑うことがあれば、ケアマネジャーや主治医、地域包括支援センターに相談できます。
よくある疑問
60代で性欲があるのはおかしい?
おかしくありません。性欲の強さは年齢だけでは決まらず、個人差がとても大きいものです。くわしくは「60代以降、性欲がなくなるのは普通?続くのは変?」に。
ずっとしていないけれど、また始めてもいい?
もちろんです。久しぶりのときに気をつけたいことは、セカンドバージンのページにまとめています。
パートナーとしたい気持ちに差がある
差があるのは、どの年代でもよくあることです。「性欲に差があるとき」も読んでみてください。
何歳まで性行為をしてもいい?
年齢の決まりはありません。からだの状態と、ふたりの気持ちしだいです。心臓などの持病がある人は、主治医に相談してください。
性のことを医師に聞くのが恥ずかしい
医師にとっては、からだのことのひとつです。「性行為のときに痛みがあって」「勃起しにくくて」とひと言伝えれば、話は通じます。
相談できるところ
| 悩み | 相談先 |
|---|---|
| 腟の乾燥・性交痛・尿もれ(女性) | 婦人科・泌尿器科 |
| 勃起の悩み(男性) | 泌尿器科 |
| 持病・薬と性 | 主治医・薬剤師 |
| 性感染症が心配 | 保健所・婦人科・泌尿器科 |
| 気持ちや関係の悩み | カウンセリング・自治体の相談窓口 |
まとめ
60代からの性は、人によってさまざまです。女性は閉経後の腟の乾燥、男性は勃起の変化など、からだは変わりますが、相談できる方法があります。定年や死別、再婚など、関係の変化もふれあいを見直すきっかけになります。しない・したい・ひとりで、どれを選んでもいい。自分とパートナーにとって心地いい形を、ゆっくり見つけていけばいいんです。人生の後半は、これまでの経験があるからこそ、自分の気持ちを言葉にしやすい時期でもあります。
- 日本産婦人科医会「相談されないと対応しない性交痛のケア」(閉経後の性交痛・腟の乾燥と治療の選択肢) https://www.jaog.or.jp/lecture/13-%E7%9B%B8%E8%AB%87%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%A8%E5%AF%BE%E5%BF%9C%E3%81%97%E3%81%AA%E3%81%84%E6%80%A7%E4%BA%A4%E7%97%9B%E3%81%AE%E3%82%B1%E3%82%A2/
- MSDマニュアル家庭版「閉経」(腟萎縮・性交時の痛み・潤滑剤と保湿剤) https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/22-%E5%A5%B3%E6%80%A7%E3%81%AE%E5%81%A5%E5%BA%B7%E4%B8%8A%E3%81%AE%E5%95%8F%E9%A1%8C/%E9%96%89%E7%B5%8C/%E9%96%89%E7%B5%8C